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第12話 黒の王の情人…先読み、予知する黒の王

last update Last Updated: 2025-04-22 15:52:03
だんだん・・と黒の王との一夜を待ち望んでいる自分に気づくエリンシア

そんな自分自身にも どうしていいかわからずに戸惑う。

気がつけば、繰り返れる夜の日々 悦楽の海に溺れ

甘い吐息が絡み合う夜の睦言、ベッドでエリンシアは彼の前で白い肌を晒して、彼の望むままに…肌に触れられ、彼のその手に唇、舌先で快楽を味わう、金の髪がシーツに散らばる。

それは、側室として、白の宗主に躾けられた夜の作法

片眼の金の瞳の王

彼、黒の王アージェントは執拗にエリンシアの身体を強請る。

しかし、当然ながら

黒の王妃はまだ何も知らず 王女を伴い エリンシアの元を訪ねてきては

エリンシアの演奏や会話やお茶会を楽しむ

エリンシアは、羽琴の名手

よく宴に出るように乞われる

白の国の為にも、その誘いを断る事はなく

その素晴らしい演奏を披露した。

ある夜

黒の王はエリンシアとの睦言を楽しんだ後で

王はポツンと呟いた。

◆ ◆ ◆

「私が恨めしいか?姫よ?」

「本当にそなたは 美しい・・金の髪も そのオッド・アイの瞳も

その身体も・・・」

エリンシアの唇に王は自らの唇を重ねた後に

また呟く

今度は エリンシアの耳元でささやく

「喜ぶがいい・・そなたが憎むべき私はやがて殺され

どうやっても この黒の王国は一度壊れる

私が先読みの力を使い この国を維持してきたが」

「どうしても・・抗えぬ」

「幾度も生き残る この運命を避ける術(すべ)を探したが

生き延びるのは白の国の人質となった黒の王子アーシュランと

王女のテインタルのみ・・」

「私の可愛い王女テインタルは無事に逃れて 助かりアーシュ達と合流できるか

あるいは 囚われ、印をされて日陰の道を歩む事になる」

「そなたは 少なくと生き残られる・・囚われてな・・」

「あるいは 私の娘、テイ王女と共に逃れるか・・」

「しかし」複雑な表情

黒の王は 思い出して含み笑いをする

「そなたの実の子供

エイル、エルトニアはとても面白い運命をたどる

息子のアーシュランと深く結ばれる運命とは・・な・・。」

とうの昔にエリンシアに触れて

エリンシアの過去を そしてエイル、エルトニアの未来を

過去見の力と先読みの力で

その運命を知った黒の王、竜の王(ドラゴン・ロード)は語る。

それを夢うつつに聞きながら

その事を、その夜の事を、何故かエリンシアは忘れてしまった、
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    セルトに向かった ティンタルの魔法攻撃宙に浮かぶもの複数の槍のような土、岩のように硬く尖り炎の魔法で包まれたものが…セルトに向かい、一直線に勢いよく飛んできた!身動きが取れない竜人のセルト鋼鉄のような鋼の鱗を持つセルトでも貫かれれば当然、命は無い!「セルト!」叫ぶ少年の声雪避けのフードを纏った少年がセルトの前に立ち次々と素早い動作で打ち払う フードから覗けるもの、その姿に顔釣り上がり気味の瞳はティンタルと同じ深紅の瞳稀なる赤い瞳「アーシュラン様」「我が君、黒の王様」皆が口々に言うのだった「お前達がなかなか戻らんから、迎えにきたぞ国政の仕事が滞る」ボソリと言うそんな少年、今は少年の姿の兄に「……まぁ、兄さま」黒の王女ティンタルは目を細め笑みを浮かべた。「ああ、なんて事、大好きな私の兄さま昔の姿に若返った私の兄さま…」「久しぶりだな、ティ」少年、黒の王…ティンタルの兄が冷たい表情で言う「うふふ、私が憎い?貴方の大事なエイルを傷つけたわ…」それに子供の頃の記憶を無くしたアーシュラン兄様には私に情など無いわ、黒の民も沢山、沢山傷つけた」泣き笑いのような表情をするティンタル「ティ、もう良い、帰って来い!アルが泣いていた…優しいエイルはお前を許せと俺に言う」「…優しいのね、でもね…でも無理」「私に、私の身体に刻まれた呪いの入れ墨が…」憎しみに満ち溢れたような不気味な笑顔目を釣りあげてティンタルが言う「愛しい貴方を殺したいの!」ティンタルが雪の中で燃え上がるような炎の魔法を放つ

  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第69話 雪山の戦い 2

    「セルト殿!」「セルト殿ぉぉ!」彼らは炎に包まれたセルトに対して口々に悲鳴に似た叫びを上げたのだった。雪避けのフードはすぐに燃え尽きたが、セルトは…セルトは軽く、己の剣で身体を包んだ魔法の炎を払いのけた。竜の人型のセルト…特別な加護がある彼、それに固い鱗の身体ほぼ、火傷もない…。「そう、やはりね」黒の王女ティンタルが呟く。其処にリュース公、タルベリィの部下達が駆けつけた「ご無事ですか!」雪避けのフードを纏う彼らは声をかけた…その中にかなり、小柄な者が一人混ざっているが今は誰も気がついていない。「お前達、兵士達よ、リュース公とタルベリィを捕らえなさい」「他の者達…そうね、拷問に掛けられるでしょうから、そんな酷い目に合うより殺した方が良いでしょうね」ティンタルの合図に今度はタルベリィやリュース公、その部下達に襲い掛かる。「タルベリィ殿、リュース公!」慌ててセルトが叫ぶ「セルト、貴方の相手は私よ!よそ見している場合じゃないわ…ねえ、これならどうかしら?」ティンタルの深紅の瞳が燃え上がるように輝いた「炎の蛇よ、敵を捕らえよ!」ティンタルの魔法で赤い魔法陣がセルトの足元に出現したかと思うと蛇を思わせるクネクネした細長い炎がセルトの足元を捕らえた!「うっ」ジュッと言う音に嫌な焼ける臭いがする。セルトは蹴り、剣で払いのけようとする「セルト殿!…水よ、竜人セルト殿を救え!」敵の兵士達と戦いながらもリュース 公が水の魔法を放ち、セルトの足元の炎を消した「炎よ、大地の槍に抱かれ、我が敵を貫き、焼き殺せ!我が名は焔の姫、黒の王女ティンタル、我に従い敵を討て!」空中に浮いた幾つかの大きな土の塊その土の塊がが細長く、先を尖らせた形に変化したかと思うと…次に赤い炎を纏い、勢いよくセルト目掛け飛び掛かった!すると、リュース公達の部下の兵士雪避けのフードを被る小柄な者がセルトの方に駆け寄る。

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